Caixa Forum カイシャフォーラム |
La caixaラカイシャはスペインのカタルーニャ地方の銀行で、スペイン全土に支店を持つ大きな銀行です。この銀行は、様々な社会的な文化貢献活動を行っており、また美術館や博物館などを運営し、一般市民も含めて、銀行の講座をもつクライアントたちへ芸術文化の情報発信を行ってくれています。
このラカイシャフォーラムは、そういった文化発信の拠点のひとつ。モンジュイックの丘のふもと、国立カタルーニャ美術館を望む位置に建っています。バルセロナ観光のハイライトのひとつとなるモンジュイックの丘の地域は、ミロ美術館も含めて様々な施設があり、観光だけでなく美術や文化、建築などをまなぶのにふさわしい地域です。なかでも、このカイシャフォーラムは、とても興味深い展示プログラムを開催するので、特にバルセロナ市民にとっても見逃せない美術館のひとつになっています。
かつこの建物は、もともとモデルニスモ建築の時代に建てられた繊維工場でした。オリジナルの名称はFábrica Casaramonaファブリカ•カサラモナ(カサラモナ工場)と言います。かの時代の3大建築家のひとり、ジョセップ•イ•プチカダファルクJosep Puig i Cadafalch のデザインによるもので、1913年に完成されました。れんが造りによる美しいデザインの工場は、すぐに評判になり、すでに工場としてオープンする前年の1912年には年に一度行われる建築コンクールで賞を受けました。文化遺産的な意味でもとても重要な建築物、バルセロナ市内のルータ•デ•モデルニスモにも登録されています。
産業革命の時代を経て、繊維産業で大きく成功したカタルーニャ地方には、繊維関係の工場で当時の有名な建築家たちに以来した建物がたくさんあります。しかし、中にはその後繊維工業の衰退で、美しい建築の工場も維持することができずに、そのままさびれていってしまった工場もたくさんあります。
このラカイシャの建物もそういった工場のひとつで、カサラモナ工場としての機能を発揮したのはそう長いことではありませんでした。1920年には工場が閉鎖され、その後1929年に行われたバルセロナ万国博覧会では、展示物の倉庫としてつかわれていました。でもモンジュイックの丘の麓にたっているという場所のよさと、モデルニスモ建築家の中でも特に有名になったジョセップ•イ•プチカダファルクの作品であったということが、この建物のその後の復活のひとつの要因になったことは確かでしょう。そういった意味でも、ラカイシャ銀行によって買い取られ、今でも美術館として昨日しているこの建物は、時代の遺産としての価値も高く、美術館としてだけではなく、その建物の美しさを観にいくのもおすすめです。
さらに、このカイシャフォーラムの入り口の部分は、日本人建築家の磯崎新氏によってデザインされたものです。彼のモダンでシャープなスタイルは、美術館のエントランスとエントランスホールとを一体化させ、外観の建築とは全く異なりますが、それが歴史と現代美術の融合を実現しています。またエントランスホールは、現代美術彫刻家 ルシオフォンターナLucio Fontana,による天井のデザイン、かつ壁にはやはり現代アート美術家の ソルレウィットSol LeWitt による鮮やかな色のウォールアートを見ることができます。
さらには、もっと時代をさかのぼってかつてのマルコポーロの航海記に記載されていた日本の描写の記録や、フランシスコザビエルが日本に着いて、その後に発展していったキリスト教影響を受けた日本の芸術の展示や、西洋人たちが見た当時の日本の様子が描かれた会がなど、興味深い展示がたくさんありました。
このカイシャフォーラムは、いつも印象深い展示会を行ってくれるので、本当に目が離せません。
建築を眺めるだけでなく、時間があったら、ぜひ中にも入ってみてくださいね。時間がなくても、エスカレーターをおりて入り口にたってみてください。入り口には美術関係の本やグッズを置いたショップもありますし、2回にはカフェもあります。外からの印象と中の印象の違いを体感するだけでも、よい経験になると思います。ラカイシャ銀行のメンバーは入場無料。それ以外の人は、展示会を見るなら4ユーロです。(2014年1月現在)もちろん、建物の中の見物だけなら、無料ですよ!
Caixa Forum Barcelona
カイシャフォーラムバルセロナ
Avenida. Francesc Ferrer i Guàrdia,
6-8, 08038
Tel. 93 476 86 00
12月25日、1月1日、1月6日以外は年中無休。